森友学園補助金不正受給。水増し契約書を作成した建設会社と設計事務所の罪も重い
こんにちは、たけのこです。
森友学園の籠池夫妻が国の補助金をだまし取ったとして逮捕されました。
籠池容疑者らは、学園が大阪府豊中市の国有地に計画した小学校の校舎建設工事をめぐり、実際には約15億5500万円だった費用を23億8400万円余とする虚偽の請負契約書を提出するなどして、国の補助金計約5600万円をだまし取った疑いが持たれている。
注目が森友学園に集まっていますが、水増しした工事費の契約書は森友学園だけでは作成できません。
当然の事ながら、建設会社、設計者監理者も契約書の作成に関わっています。
今回は建設会社の立場からこの契約について、書いてみます。
共謀としかとらえられない契約書
水増しした契約書の作成を求められた際、建設会社はこう説き伏せられたと記事にはあります。
実際の建設工事は見積業者とは別の施工業者が受注。15年12月に見積額を下回る約15億5500万円で工事請負契約が結ばれた。
籠池容疑者らは16年2月下旬ごろ、総額23億8400万円とした新たな契約書を作成し、補助金申請用に提出。当初契約の費目をそれぞれ1.5倍にしただけの、ずさんな内容だったという。施工業者は「『工費が増えた場合に備える』と協力を求められた」と証言している。
「『工費が増えた場合に備える』と協力を求められた」
こんなことで普通、水増しされた建設請負契約を結ぶことはありません。
都合よく1.5倍の金を払ってくれる発注者なんていませんからね。
その一方でこんなニュースもあります。
施工会社には工事代金をできるだけ低く抑えるよう求めていたことが関係者への取材でわかりました。
完全に食い違っています。
一般的に建設会社は「請け負け」と言われるように、さんざん値引きさせられ、契約を結んだらその金額で施工させられるものです。
もちろん、設計変更があれば請求はするものですが、それでも認められないことも多いのが現実。
そもそも、契約書が複数あることは建設会社からすれば困ります。請負金額は会計にも税務にも当然の事ながら、影響を及ぼすからです。
きっと15億で手を握ってるのでしょうから、会計上の受注計上は15億で計算しているでしょう。
23億もらえる保証はないのですからね。
工事の進捗によって売上高を計上する工事進行基準会計は、税務申告にも使われますのでそこでも売上高の算出に15億という数字が登場しているはずです。
労災保険も事業所ごとに単独有期事業で申請していることですから、きっと総事業費を15億で申請していることでしょう。
そうすると、建設会社としては、23億の契約書が独り歩きするのは、とっても怖いことなんです。
補助金申請している23億の契約書が正となれば、不正会計、税務否認は避けられませんからね。
労災保険料も変わってきます。(労務費率で計算していればですが)
反面調査でもすれば簡単にわかっちゃうんですよこんなの。
そのようなリスクを犯してまで、2重契約するということは、深く考えてないか、共謀してなければありないのです。
建設事業のプロである設計事務所と建設会社がこのような法的リスクがあるにもかかわらず、発注者に説き伏せられ水増しした契約書を作ったことは残念でしかありません。
業界の印象を更に悪くするだけです。
ただでさえ、良いとは言えないのに。
役所の審査方法も検討しなおすべき
そもそも、水増しした契約書を作るだけで最大限補助金が支給されてしまうこと自体が問題です。
こんな簡単に、税金が不正に支給されてしまっては、納税者としては役所の審査怠慢としか思えません。
そもそも、森友学園は問題にならず、あれこれ順調にいってたら、不正受給の実態もわからなかったんじゃないでしょうか。
詐欺とは言えこんなに簡単に騙せるなら、他にも補助金が不正受給されてるんじゃないかって疑いたくなります。
不正受給されてないことの証明でも、してもらいたいですね。
役所は申請時だけの審査だけでなく、補助金支給後の監査的機能がないとダメなんじゃないかな?
税金使って補助金支給してるんですから、その事業が適切に運営されてるかチェックすべきです。
もっと事業主を牽制しないと、税金の垂れ流しですよ。
なにはともあれ、森友学園補助金不正受給問題は、協力した建設会社と設計事務所の罪も重いと思うのでした。