ゼネコンって世間のイメージ悪いけど、ちょっと払拭したい
こんにちは、たけのこです。
あるドラマを見ていたところ、建設会社の印象を明らかに悪くするような表現がありました。
悪徳そうなゼネコンがマンションを建設し、地元住民の反感をかってるという、いかにもな設定です。
まあイメージが悪い部分は確かにあります。
たくさんあります。
すごくあります。
建設会社勤めの私ですが、世間のイメージが果たしてどこまで本当なのか、時々自問自答します。
それで行きつくところは、そんな悪い業界でもないよなってとこです。
もっと言うと、常識なんて関係ない!みたいな会社はよそにたくさんあるなかで、大真面目にやってると思うんですよね。
全ての建設会社に当てはめるつもりはないですけど。
今回は、社員が語るイメージの悪いゼネコンの話です。
ゼネコンって世間のイメージ悪いけど、ちょっと払拭したい
ゼネコンのイメージを悪くしているもの
何がそんなにゼネコンのイメージを悪くしているのでしょうか。
私なんか20代そこそこなので、古き良き時代を知らないものですが、人から言われたり、よく聞くところを書いてみます。
〇公共工事で儲けてる
〇下請を虐めたり、利益を独り占めしている
〇談合している
〇施工不良を認めない
〇政治家とつながっている
〇工事で近隣に迷惑をかける
〇ブラック企業な感じがする
〇3K(きつい、きたない、危険)
〇恐い
〇なんか悪いことしてそう
人によってはもっといろいろ思うところがあるでしょう。
まあ一番印象を悪くしているのは、悪いことしてお金稼いでる感があることなんですかね。
実際のところどうなのか
良く言うことも、悪く言うこともできますが、自分が社員なのでなるべく良く書いていきたい。
というか始めにも書いたように、うちの会社は大真面目なんです。
さっきのイメージをちょっとフォローしてみます。
〇公共工事で儲けてる
→好き好んで赤字の仕事なんてやる会社ありません。かと言って高い値段で受注できるほど、入札は都合いい仕組みになっていません。逆にダンピングもできなくなっています。よく入札が不調になることがありますが、大抵は実勢価格を反映していない入札予定価格を算出した行政側に問題があると思います。
〇下請を虐めたり、利益を独り占めしている
→建設業法、下請法を遵守したうえで、適切に下請業者と取引しています。下請業者が倒産したらゼネコンは職人を失い困るので、損はさせません。ただし、ゼネコンが受注焦るばかり、低価格での受注、短工期によって下請け業者に負担がのしかかる場合が見受けられます。それでもゼネコンは体力があるので自社が赤字になっても、下請を倒産させるようなことはありません。
〇談合している
→建設会社は談合決別宣言をしてますので、基本的にはありません。他社で明らかになんかやってんだろってのは見受けられますけどね。
他業界の方が談合まがいのことをしているような印象を受けます。
〇施工不良を認めない
→施工瑕疵が建設会社に非があるものであれば、適切に補修工事を行います。法律や現場の状況を鑑みて判断します。
しかしながら、個人の方は家、マンションなどの不具合がある場合は、専門家に診てもらったほうがいいです。建設会社側は施工不良を証明しないと補修できないので、非を認めにくいのです。
〇政治家とつながっている
→大人の事情は分かりません…
〇工事で近隣に迷惑をかける
→工事をするときには、近隣説明会を実施し、騒音や振動の発生する時期や工程などを説明します。最大限対策も実施していますし、機材も極力騒音の小さいものを利用することもありますが、どうしても音や振動が出てしまうのはごめんなさい。
工場生産できないもの作ってるんです。
〇ブラック企業な感じがする
→労働環境はブラックかもしれないけど、現場の一体感というか、家族みたいな雰囲気の現場は居心地がいいです。職人さん優しいし。みんなお互いを支え合って仕事してます。私も多くの職人さんに助けられ鍛えられてます。でもこれは工事現場によって空気はまちまち、工程がひっ迫していたり、設計変更が相次ぐと酷い雰囲気になることもあります。
〇3K(きつい、きたない、危険)
→きつい、きたないは改善されつつありますが、危険はつきものです。それでも、ゼネコンは現場と会社が協力して全力で安全対策、管理に努めています。安全は全てにおいて最優先事項です。
〇恐い
→現場監督は恐くないです。職人さんも恐持てですが、優しい人ばかりです。
〇なんか悪いことしてそう
→今はそんなにしてないです。たまに個人で悪いことする人がいますが、それはどこの企業も同じ。大手は組織として悪いことをできにくくする仕組みを整備しています。
こんなところでしょうか。
ゼネコンのフォローになってますかね…
ゼネコンの良いところ
じゃあ逆に社員から見ていいと思うところを見てみましょう。
〇工事現場の中では、本気の物作りが行われている
→当然なんですけどね。ゼネコンが作るものは世界に一つのオーダーメイドで現地生産のメイドインジャパン建設物です。
新しいものを作るためには多くの課題や問題が山積します。そのなかで㎜単位の精度を求められる建設をしていくのです。
建設現場の中では、みんなが力を合わせて雨の日も風の日も、夏も冬も本気のモノづくりをしています。それが後々に形として残ることは、働く人すべての誇りだと思っています。
〇儲けてるように見えるけど、結構危ない綱渡りをしている。
→実はそんなに高い利益を載せて見積出してません。ただ、仕事の金額がでかい分、利益額としては大きいです。1億の1%は100万ですが、1兆の1%は100億ですからね。
それに、建設工事は目的物に対する金額を工事前に契約するため、数年に及ぶ工事ではトラブルや物価上昇など予測できないこともあり、赤字にならないように必死なものです。
工場生産ではないので、決まったお金でモノづくりするのは大変なことなのです。
〇現場は関係者すべてのことを考えている
→工事現場の監督は発注者だけでなく、近隣住民、社員、職人など関係するすべての人のことを考えています。どれがかけても工事はうまく進められませんからね。だから人と人とのコミニュケーションを大事にしています。
〇法律を遵守する意識が高い
→普通なことなんですけどね。大手ほど法律に対する意識が高いように思います。それが逆に厄介だったりするんですけど。逆に法的根拠がなければ、非を認めないことも多いです。
〇技術開発に力を入れている
→企業としては必要な努力であることは間違いありませんが、大手は技術研究所を有し、積極的に技術開発を行っています。
特に自然災害の多い日本では、頑強な建物が求められています。近年では建物のリニューアル技術なども需要がありますね。
〇甚大な災害が起きればすぐにも対応する準備をしている
→大規模地震や洪水などによる被害復旧にもゼネコンは活躍します。会社規模が大きければ、派遣できる技術者も当然の事ながら多く、迅速な対応ができるのです。
私たちの仕事は国づくりであり、人々が文化的な生活を安心して送れる環境づくりでもあります。それがもし崩れてしまっても、再興のための道筋を作るのが私たちの仕事です。
それが建設業に対して、私の思っているところですね。
やっぱり最後は人になる
こんなこと言っちゃうと良くないんですが、結局最後は人なんです。
ゼネコンには多くの優秀な技術者がいる一方で、優秀が故に悪いことや会社の事しか考えないで行動してしまう人がいるのも事実です。
また、建物の品質も現場監督の管理次第で大きく差が出ます。
同じものを作らせても担当者によって、完成度が大きく違ってしまうのです。
発注者、近隣住民、職人にとっても、アタリの現場監督、ハズレの現場監督がいるのも事実だと思っていますね。
これはどんな産業でも一緒でしょうね。
同じ仕事やらせても、それを担当する人によって満足度や完成度は変わるものです。
あと思うのは、優秀な現場監督には優秀な職人さんがついてくると感じますね。もし、家やマンション、ビルを建てようとする方は、営業よりも現場監督を見ましょう。
建設の営業の中には、契約したらたいして面倒見てくれない人がいるので。
大手はガバナンスを強化しようとしていますが、どこまでうまくいっているか疑問です。
ほんと建物の品質は、担当者で決まりますよ。
ゼネコンは叩かれやすい産業ですが、建設に真摯に取り組んでいます
何かと事件が起きればあることないこと、さんざん叩かれるゼネコンですが、私が社内を見渡す限りでは建設に誇りを持ち、どんな仕事に対しても社会のために真摯に取り組む人が多いです。
先日、新国立競技場の建設現場で自殺者が出る事件がありました。
2度とは起きてほしくない事件です。
こうした事件は業界全体のイメージを悪くしてしまいます。
でも、これが全ての工事現場に当てはまらないことを知ってほしいです。
現場監督によっては職人の生活まで考えて、仕事の段取りをする人もいます。近隣の住民の方に迷惑をかけないために、知恵をさんざん働かせる人もいます。
今回の記事は、私の会社を内部から見た印象を書いていまが、他社はきっと違う一面もあることでしょう。
また、私の会社も非難されるところがあるかもしれません。
しかし、私は真摯、実直なモノづくりをする建設業を誇りに思っています。
ゼネコンは悪の塊だと思っている方に少しでも、いい印象を持ってもらえたら嬉しいです。
※でも、私はうつ病になりましたけどねー