この狭い日本でリニアが必要なほど、何をそんなに急ぐのだろう?
こんにちは、たけのこです。
2027年の開業に向けてリニアモーターカーの工事が本格化しています。
超電導磁石により空中を時速500kmで走行するリニアは、将来的には東京ー大阪を1時間で結ぶというまさに夢の乗物です。
でも今更ながら、テレワークなどの働き方改革が進む中で、リニアがどこまで必要なのか疑問に思います。
日本全土を結ぶ鉄道となれば別ですが、東京―名古屋間が開通までに10年も必要なうえに、東京ー大阪間を結ぶばれるのは30年後で総事業費は9兆円とも言われます。
そんなリニアモーターカーについて、今回は書きたいと思います。
この狭い日本でリニアが必要なほど、何をそんなに急ぐのだろう?
現役の世代に恩恵は少ない
リニアってすごい早いんですよ。
山梨まで20分、大阪まで1時間で結んじゃうんだそうです。
大阪から東京に通勤できんじゃん。やったー!
でもちょっと待ってください。
東京―大阪間の開通予定は2045年と言われています。
今から30年後ですよ。
博多までリニアが伸びるころには、私の命はないでしょう。
完成するころには時代遅れの乗物になってんじゃないかって心配になります。
それに今現役の人がリニア使うときって、下手したら退職した後じゃないです?
今だって2時間ちょっとで移動できます。
それが半分の時間になったところで、そんなに変わりますかね。
これからの時代は人が移動しない?
リニアは主にビジネス利用が目的とされていると思うのですが、これからの時代は観光以外で人がわざわざ移動することって少なくなるんじゃないかなって気がするんです。
今でさえ、テレワークを復旧させようとしていますし、働く場所を限定しない働き方が徐々に広まっています。
テレビ会議だって今では多くの企業に導入されていますし、もはや会議や打ち合わせのために人が集まること自体、無駄という考え方があるのです。
働く場所選ばない時代が既に来ているのです。
そうすると東京―大阪を1時間で移動しないといけない人って、どんな人なんでしょうか?
そこまで時間を短縮したい人って、そんなに多くないんじゃないかな。
それに加えて人口減少社会です。
利用者が少なくなるようになれば、経済効果もそこまで期待できないのではないでしょうか。
本当に地球にやさしい乗物?
リニアモーターカーは次の理由から地球にやさしい乗り物だそうです。
リニア中央新幹線は、一人を1km運ぶ時の二酸化炭素排出量を他の交通機関と比較すると、航空機の半分以下、乗用車の約9分の1の削減が見込まれます。クリーンな電気エネルギーを有効活用し、浮上走行するため、騒音や振動も少なく、沿線の環境への影響を最小限に抑えることができます。環境保全とスピードを両立する、新時代の交通機関といえます。
ああ確かに環境によさそうだね。
って思ってしまいますが、疑問も多くあります。
まず、「クリーンな電気エネルギーを有効活用」とありますが、その電気の発電方法は果たしてクリーンなものなのか。
原子力政策が力を失う中で、今の日本の主電源は火力発電です。
アメリカがパリ協定離脱!?そんな中、日本は火力発電の建設ラッシュ - たけのこlabo.
化石燃料を主体としたクリーンではない発電方法で生まれるクリーンな電気エネルギーって、なんか矛盾してないですかね。
再生可能エネルギーで賄うんだ!って言っても安定供給できない再生可能エネルギーによる発電で、朝のラッシュだけで原発3基分の発電量が必要とされるリニアを動かすのは至難の業です。
そうすると、原子力がやっぱり必要になっちゃいますね。
リニアが動くと電力会社も儲かりそうです。
超電導を発生させるためのヘリウム
リニアは超電導を発生させるためにコイルを約-269度の液体ヘリウムで冷却します。
じゃあそのヘリウムはどこからやってくるかと言うと、現在は天然ガスの副産物として分離精製されています。
電気だけかと思ったら、こんなところでも化石燃料頼みです。
現在、ヘリウムを利用する主要な産業は、MRIや光ファイバー、宇宙開発事業、半導体、真空装置の漏れを確認するリークテストなどです。
これらによるヘリウム需要は拡大しており、将来的に需要がひっ迫することが想定されています。
そんなヘリウムを恒常的にしようするリニアって本当に環境にいいんですかね。
騒音振動は少ないけど磁場による身体への影響は?
「浮上走行するため、騒音や振動も少なく、沿線の環境への影響を最小限に抑えることができます」とのことですが、超電導コイルから発生する強力な磁場は周辺環境や乗客に悪影響を及ぼさないのでしょうか。
リニアの総重量はわからないですが、あれだけの巨体を浮かし時速500kmで移動させるためには、相当な磁場が発生するはずです。
ピップエレキバンどころのレベルじゃないですよ。
そんな磁場を浴び続ける周辺環境と乗客の長期的な安全性については懸念はないのでしょうか。
環境保全というけど開発が一番環境破壊
リニアは3000m級の南アルプス山脈にトンネルを掘り線路を敷設します。
南アルプスと言えば、良質な水源としてミネラルウォーターの採取もされている土地。
トンネルを掘ることで山の内部の水脈に変化をきたし、周辺の河川への水量、水質の変化が懸念されますが、そこまで予測できるのでしょうか。
トンネル工事は一寸先は闇で、水脈にあたれば洪水になるほどの水との戦いになりますが、それを抑えることが環境に影響がないとは言えないはずです。
また、トンネルを掘るということは大量の掘削土が発生します。事業計画によると7割は使用計画があるようにも書かれていましたが、果たして再利用しきれるのか疑問もあります。
これは蛇足ですが、トンネル工事は大量のコンクリートを使用するため、強アルカリの汚水が発生します。基本的には適切に中和し、河川に放流しますが、過去に人為的なミスから強アルカリ水が河川に流出し、生態系に大きな損害を与えた事故も発生しています。
トンネルを作ること自体も、工事を行うことも環境を破壊して行われることには変わりないのです。
リニアが開通するころには必要なくなるかもしれない
これから先、IT技術が発展するなかでここまで巨額な鉄道プロジェクトが必要なのか、今更ながら疑問なのです。
また、リニアが発生させる二酸化炭素は航空産業の半分と言われていますが、航空産業は化石燃料依存を脱却するためにバイオマス燃料の開発を進めています。
バイオマス燃料では、食物が成長する過程で燃焼して発生する二酸化炭素を吸収することから、実質的な二酸化炭素を排出しない燃料なのです。
そうするとリニアが環境にやさしいという理念は崩壊します。
次世代技術が出てきている
既にハイパーループシステムという、リニアと同じ磁力を使った技術ですが、永久磁石を利用し時速1100kmで進む交通システムがUAEで建設されることになりました。
ハイパーループシステムは推進力を得ると永久磁石と敷設されたコイルの間に超電導が発生し、浮上するために電力を使わないため、現状のリニアモーターカーよりも圧倒的に省エネルギーかつスピードも速い交通システムです。
リニアモーターカーの概念自体、既に古いものになっています。
でも、動き出した大きな流れは止めることはできないでしょうね。
リニアが開通する時に、時代がどうなっているか楽しみなものです。