クマは正しく怖がろう。人里に出るクマにも理由がある
こんにちは、たけのこです。
始めに無断でくま吉さん(id:tocotocokumachan)の作品を引用したことを謝罪します。
今回書きたいテーマとまさに重なるような画像だったので、つい魔が差したんです。
まさにクマが人里を襲ってるような…
さて、秋になり冬眠に向けてクマの活動が活発になってきました。
クマと聞くと恐いですよね。
稀に人をも襲いますしね。
そもそも、山で生活していたクマが人里に出てくるようになってきたのには、理由があります。
今回は、クマとうまく付き合う話です。
クマは正しく怖がろう。人里に出るクマにも理由がある
実は絶滅が危惧される日本の熊たち
日本には大きく分けて2種類のクマが生息しています。
ヒグマとツキノワグマです。
ヒグマは北海道に生息しており、ツキノワグマは本州に生息しています。
なので本州で見るクマは基本的にツキノワグマという事ですね。
実はこのツキノワグマ、既に九州では絶滅したと言われています。
主な原因としては、戦後、人の手によって進められた杉やヒノキなど人工林の開発、森林開発によってクマの生息地が分断され、個体群を孤立させてしまったこと。
分断された個体群の熊たちは、孤立した森林から他の場所へ移動することが出来ず、猟などの捕獲によって数が減るとその地域の個体数が一気に減ると考えられています。
それによって九州で、熊は絶滅したのです。
地域別にみていくと、四国や中国山地など日本各地でツキノワグマは絶滅の危機に瀕しているのです。
人里にでるニュースをよく見るので意外に思いますよね。
熊と人との接触
このようにクマが生息する里山が減っているために、人里近いところに、クマがエサや生息地を求めて出てくるようになっています。
基本的にクマは憶病な性格と言われていますが、一度人間を食べ物と認識すると、人を襲うようになるとも考えられています。
しかし、クマの主食は基本的に植物です。
人間を食べたくて襲っているのではないのです。
憶病で人間が怖くて、何とか生きようとした結果として、人を襲ってしまっていることを知っておいてください。
熊は怖い生き物ですが、熊も人が怖いのです。
熊は山の森を作っている
木で覆われた山を見ていると、実に様々な木々がバラバラに生えていることがわかります。
植林された山は別ですが、自然な山は見ていると多様な植物で溢れていますよね。
春になると面白いのは桜。
山のあちこちに桜の花が咲いている光景を目にしたことはありませんか?
それはクマの仕業かもしれません。
実はクマは、植物の種を媒介させる動物、猿や鳥などと比べても、最も種子を運ぶ生き物です。
熊は体が大きくたくさんの植物の種を食べます。そのため、他の動物に比べて種をたくさん運ぶんですね。
更に、その種を運ぶ範囲も猿や鳥と比べて広いことがわかっています。
猿は3キロ四方、鳥は2キロ四方、そして熊は5キロ四方に植物の種を運ぶことがわかっています。
消化時間の違いや行動範囲の違いによるものでしょう。
つまり、クマは山で植物を一番繁殖させる役割を担った動物なのです。
山を作るクマだからこその悩み
クマが一番植物の種を運ぶと紹介しましたが、それが故に人間と遭遇しやすくなっていることもあります。
それは山の木々の実りが不作の年。
クマにとっての食べ物が少ないと、熊の行動範囲は広まることになります。
背に腹は代えられないですからね。
そうすると、人里に降りてきて農作物を食べたりするのです。
人間の都合を無視して考えると、山の木々が不作でクマの行動範囲が広まるということは、自然界にとってはとても大切なことなんです。
それは種の保存の観点。
植物が不作になると、植物自身も種の保存の危機に瀕しますし、クマに取っても生命にかかわります。
そうするとクマが自分の生活圏を出て、種をあちこちに蒔くことは、植物にとってもクマにとっても、種の保存の観点からは必要なことなのです。
自然と人の利益が相反してしまうのが、クマによる農産物の食害ともいえるでしょう。
正しい知識で熊を恐れ、森と熊を守ろう
クマは確かに怖いし、農産物を荒らしたり人を襲ったりして危険で迷惑な存在と思っている人も多いことでしょう。
しかし、クマは自然にとっては非常に重要な役割を持った生き物なのです。クマが作った森は、結果として多くの生き物の住みかとなっています。
クマが減り続ければ自然の山のバランスが崩れることになるでしょう。
ですからクマを正しく恐れて、対策しなければならないのです。
例えばクマが出てきやすい耕作放棄地の管理や、杉やヒノキの植林で食べ物がない里山の整備など、クマが人里に出てきにくい環境整備をすること。
また食害が出てしまった場所では、電気柵などでクマをエサのある所に近づけないようにしてあげる。
様々な対策ができると思います。
人の手によって住処も個体数も減らされたクマが、これ以上、人の都合で殺されないようにするためにも、共存するための取り組みが必要なのです。
まずは、クマを知ること。
そして正しく恐れ、正しく対策をしていく。
憶病なクマと森を守るために、知ってほしいことでした。