ウイスキー初心者もOK!サントリー白州蒸留所の工場見学でウイスキーの楽しみ方を知る
こんにちは、たけのこです。
突然ですが、ウイスキーを飲みますか?
私はウイスキーというと、学生の頃にハイボールの一気飲み合戦で、人に迷惑をかける最低な悪酔いと、次の日を完全に無駄にする二日酔いのイメージしかありませんでした。
でも、ウイスキーの味がわかる大人って、かっこいいですよね。
縁あってこの度、山梨県にあるサントリー白州蒸留所の工場見学をしてきました。
サントリ―ウイスキー白州ってご存知でしょうか?
サントリーというと角瓶やトリスのイメージがありますが、ちょっと良い居酒屋とかバーに行くとこの瓶を見ますよね。
ビールの工場見学はメジャーですが、ウイスキーの蒸留所というのはどういった場所なのか見学してきましたのでご紹介します!
そこにいるだけで気持ちがいい工場!
白州蒸留所はその名の通り山梨県北杜市白州町にあり、小淵沢ICから10分ほどのところにあります。
天気がいいと八ヶ岳連峰が見え、6月の今の時期ですと新緑が美しい場所です。
さて、エントランス。
ここで受付して中に入っていきます。
予約が必要なので必ず事前予約していきましょうね!
駐車場はこの目の前に200台分ありますので、車から降りてすぐ受付ができます。
エントランスをくぐると工場入口かと思いきや
そこは一面、新緑の世界!
一気に森の中に引き込まれます。
そう、いきなり工場の中に連れ込まれるのではなく、入口まで徒歩で5分ほど蒸留所内の森林浴が待っているんです。
この日の気温は30度ほどで汗ばむ陽気でしたが、森林の中はとても涼しく、なにより空気が美味しい!
そして周りには、小鳥のさえずりが響き渡り、とても清々しい散歩道です。
目線を変えてみると
このように手作りの鳥の巣があちこちにありました。
実際に小鳥も利用していましたよ!
散歩しながら間近でバードウオッチングも楽しめますね。
途中にウイスキーのCMソングが流れたりしているので、楽しみながら散歩できます。
森林浴も満足したころにようやく集合場所に到着です。
工場の周辺もとにかく森、森、森!
工場のイメージというと、ステンレスのようなグレーの建物で、あまり心地のよい印象ってないですが、ここはとにかく自然の中にひっそりとある感じです。
通常であれば時間が車で資料室で見学をするのですが、私は見学会ギリギリについてしまったので、資料室を見ることが出来ませんでした。
残念…
少し歩く時間もあるので、時間には余裕を持って行った方がいいですよ。
いよいよ工場見学開始
さあ、いよいよ蒸留所の見学開始です!
少人数でとっても和やかな雰囲気です。
ガイドのお兄さん(中央)はスピーカーを持っているので、とても説明が聞きやすかったですね。
そして驚くのが、部屋に入った途端に香るにおい。
それも物凄い香り!
ウイスキーとも違う?
蒸留所内は甘くて香ばしいような麦の香りが充満していました。
まずは、ウイスキーの製法と原材料の説明から
ウイスキーは基本的に「麦」と「水」で作られます。
①麦を麦芽にさせ加熱し、麦汁をつくる
②麦汁に酵母を加え、発酵。もろみをつくります。
(ここまではビールの製法に似ていますね。)
③蒸留。蒸留をすることでアルコール度数を一気に上げます。
④樽に詰めて熟成。
⑤複数の樽から職人がブレンドし、完成
こういった流れです。
さて原材料。
白州の場合は、麦を発芽させた「麦芽」と、ピートと呼ばれる泥炭(でいたん)を燃やして燻した「ピーテッド麦芽」を使用します。
これがピート。
ピートはコケなどが堆積してできた、いわば化石燃料みたいなものです。
「ピーテッド麦芽」はこのピートの香りによって、心地よい燻された香りを持つようになります。
実際にピーテッド麦芽のにおいをかいでみると、燻製好きにはたまらないですね。
ちなみに、原料は麦もピートもスコットランド産を使用しています。
材料だけみればスコッチウイスキーと一緒なんですよ。
ここからがウイスキー作り
まずは麦芽に70度に加熱した南アルプスの天然水を加えて麦汁を作ります!
サントリーの「南アルプスの天然水」は白州蒸留所と同じ敷地で製造されています。
そのため、麦汁つくりに使われる水も、もちろん南アルプスの天然水!
やはり美味しいお酒造りには、美味しい水が欠かせないですね。
このアルプスの天然水があるからこその白州工場なのでしょう。
続いて仕込み窯です。
この中で麦芽と南アルプスの天然水が混ぜられ、麦汁が作られていきます。
いやーデカいですね。
ここで、この工場見学の凄いポイント!
とにかく、設備機器との距離が近いんです。
手を伸ばせば触れるじゃんってくらい近いです。
たいていの工場見学ではガラス越しで見ることが多いんですが、ここでは生産者と同じ空間に入って見学ができます。
そのため、熱気がすごい!
仕込み窯から発せられる熱を体感することができるんですね。
しかもとくに柵とかもないので、近づけちゃいます。
なんで麦芽に水を加えると甘い麦汁になるのか
麦汁は言うなれば麦のジュース。
これが凄く甘くておいしいんです。
(もし麦汁を飲んでみたいという方は、キリンの工場に行くと一番搾り麦汁が飲めますよ!他社ですけどね。)
では なぜ、麦芽に水を加えると甘いジュースができるのでしょうか。
それは甘酒の時に説明した原理と同じなんです!
つまりは、麦芽がもつ”でんぷん”を麦芽自身が持っている酵素で糖化をさせることで、甘ーい麦汁を作り出すんです。
実はこの技術、ビールやウイスキー作りが伝わる前から、日本人は麦芽の力を利用しているんです。
なんだと思いますか?
それは、 水あめなんです。
実は水あめには砂糖は使われません。
水あめは麦芽にでんぷんを加えて、でんぷんを麦芽の酵素によって糖化させ、甘みを作りだします。
日本人は麦芽がもつ力を昔から知っていたんですね。
ただ、偽物の水あめだと平気で砂糖入っているので、原材料はよく見てくださいね。
いよいよ発酵!麦汁がもろみになります
話がそれてしまいましたが、工程は次に進みます。
麦汁に酵母を加えて発酵です。
ここで甘いジュースの麦汁は酵母の働きによって、アルコールと炭酸ガスに分解されます。
そのため、この樽の中では、液体がぶくぶく。
酵母たちが生きているのが伝わってきますね!
このあたりから、周囲の香りが変わってきます。
この工場見学はウイスキー作りの工程ごとに香りの変化も楽しめるんですね。
そして、何より距離が近い。
写真を見ていただければわかるように、発酵させてる樽にも手が届きそうなくらい近いです。
どうでもよい話ですが
このブクブクは炭酸ガスなので、顔突っ込むと一酸化炭素中毒ですぐ死にます。
決して樽の中に顔を入れないでくださいね!
(ガラス張りなので無理ですけど…)
発酵にもこだわり
この発酵させている樽をよーくみると木でできています。
サントリーのこだわりで、木の樽を使うことで木が持つ乳酸菌や香りがもろみに加わるんですね。
それがまた豊かな香りを作り出してくれるそうです。
また、この樽、人の背丈くらいかと思いきや、ひとつ4mの高さがあります。
実は結構でかいです。
写真では樽の上部しか見えていないので、大きさは感じられませんが、足場の下を見ると結構深いですよ。
見学の見せ場!蒸留器です
さあ、ここからはウイスキー作りの見せ場、蒸留です。
発酵でできた”もろみ”はまだまだアルコール度数が低いので、蒸留窯を通してアルコール度数を上げていきます。
よく見ると、さまざまな大きさ、形の蒸留窯が10以上もならんでいますね。
これがサントリーのこだわりポイントです。
蒸留窯の形、大きさを変えることで、さまざまな味わいや、香りのウイスキーが作れるそうです。
これは世界的にも珍しいことのようで、本場スコットランドのウイスキーメーカーでも複数種類の蒸留窯を持っているところはないとのこと。
日本と違いスコットランドはメーカーが多いので、それぞれのメーカーが原酒を交換しあっていて、一社で複数の蒸留窯を持つ必要がないんですね。
逆に日本はウイスキーメーカーが少ないので、サントリーの場合はこうして大小、形状も様々な蒸留設備を持たなければならないのです。
複数設備を管理できる技術があるからこそなせる業でもあるんですね。
蒸留ができたら熟成です
蒸留が終わったら熟成です。
熟成に使うのも、もちろん木の樽。
なんとサントリーはこの樽も自社で職人を養成し、手作りしています。
実際に職人さんが手作りしているビデオもここで見られます。
これには感動しましたね。
他社では外注してしまうところを、職人から雇って樽づくりをしているのです。
工程の各所にこだわりが感じられますね。
そしてこの樽に、先ほど蒸留したウイスキーを詰め、熟成させていきます。
上から下まで何メートルあるのかわかりませんが、樽がびっしり。
この蒸留所全体でこの樽が約百万樽あるそうです。
熟成というと、ワインで言えば地下深くの年間を通して温度が変わらない環境で熟成させますが、白州ではなんと空調の管理は全くしていないそうです。
温度管理はせず、蒸留所周辺の新鮮な空気を常に取り込み、自然な環境でじっくり熟成させていく。
蒸留所が森に囲まれている理由がよくわかりました。
ウイスキーの隠し味は新鮮な空気なんですね。
ちなみに、この樽の中で熟成させていると、中のウイスキーが自然に減っていきます。
それは木の樽にしみ込んだウイスキーが一部蒸発するからなんですね。
このウイスキーが減る現象を職人さんは
「天使の取り分」と粋な名前で呼んでいるそうです。
最後の工程、ブレンディング
残念ながらブレンディングの様子はビデオでしかみれません。
白州は熟練のブレンダ―さんによって、熟成年数の違う多彩な原酒を、白州の特徴に合わせて混ぜ合わせて作られます。
なので同じサントリーウイスキー山崎のように10年ものとか、そういった表記がないものがあります。
最後はお愉しみテイスティングタイム
お待ちかねのテイスティングタイムです。
工場見学はこれを楽しみに行くようなもんですね。
ここでも、面白い仕掛けがありました。
なんとウイスキーが4杯分も並んでます。
昼からこんなに飲んだら…
4杯並んでいますが、中に入っているのは3種類です。左から「普通の麦芽の原酒」、「ピーテッド麦芽の原酒」、右2つはブレンドされた「白州」ですが、多い方は最後にハイボールに使います。
原酒はとてもシンプルで個性的
原酒はそれぞれ直接飲むと目が回ります。
アルコール度数が50~60度あるので、直接飲むとノドが焼けるようなかんじですね。
これはこれで酒好きにはたまらない味わいですが、弱い方にはかなり酷な度数です。
でも大丈夫、
グラスには線が引かれていて、それに合わせて水を注げば黄金バランスになってくれます。
原酒の香りは是非、実際に訪れて試してください。
シンプルながら個性的な味わいのウイスキーはここでしか味わえません。
特にピーテッド麦芽だけの原酒はそのままでも美味しいウイスキーになっていました。
原酒を飲んでからの白州
原酒の後に、白州を飲んでみるとその味と香りの複雑さと、豊かさのバランスに驚かされます。
角ハイボールを一気飲みしていた時には、知ることのできなかったウイスキーの香りの豊かさに気づかされました。
直接飲むのもいいですが、それでもアルコールが強いので、すこし水で割ってあげるとお酒が苦手な方でも香りを楽しむことができますよ。
最後のしめはハイボール!
最後は白州とミント、そして南アルプスの天然水の炭酸でハイボールを作ります。
ガイドのお兄さんが、最高に美味しいハイボールの作り方を教えてくれるので、誰でも黄金比のうまいハイボールが作れちゃいます。
これがまたうまい。
ウイスキーにあまりいい印象がない私にとって、常識を覆すものでした。
美味しいハイボールの作り方は、パンフレットにも書いてあるので家でも試せますね。
ただ、ここまで、全部飲んでしまうと普通に出来上がってしまいますので、飲む量には気を付けてくださいね。
おつまみが優秀
こういったテイスティングには、おつまみがつきますが、白州はかなり優秀です。
ミックスナッツに燻製のナッツ、チョコレートとどれもレベルが高いです。
こんなん最後に出されたら、お土産売り場で買っちゃうじゃん。
ってくらい美味しいです。
(実際買って帰ってしまいました…)
お土産にグラスがもらえちゃう
ハンドルキーパーの方には、ハイボールを作るのに使った白州グラスも帰り際にもらえます。
飲めない方に、ちょっとしたお土産があるのもうれしいポイントですね。
ウイスキーが好きになる!サントリー白州蒸留所に是非行ってみて
ウイスキーは激しく酔っぱらうための酒と思っていた私は、この工場見学でウイスキーの価値観を大きく変えられてしまいました。
自然と職人、そして時間、それぞれの要素がどれ一つかけても、美味しい豊かなウイスキーは作れないということがよくわかります。
さらにサントリーの工場見学には、企業のこだわりが各所で伝わってくるので、非常に魅力的なものでした!
よく工場見学に行くと「私たちは自然を作っています。」とか、
「環境にやさしい工場です。」など、いかにも印象の良い言葉をわざわざ聞かされます。
一方、サントリー白州蒸留所では、そのような誇張した説明は一切ありませんでした。
それは見学に行けば言葉にしなくても、この工場が自然環境を大切にし、自然と共存していることが五感で感じ取れるからです。
なんかすごく、サントリーが好きな人間になってしまいました。
影響されすぎかな?!
都心からも日帰りで行ける場所ですので、もし山梨に行かれる際にはサントリー白州蒸留所へいってみましょう!
サントリー白州蒸留所の詳しい情報はこちら
〇予約:要予約
〇料金:1,000円(税込)
〇住所:山梨県北杜市白州町鳥原2913-1
〇電話:0551‐35‐2211
〇営業時間:営業時間:9:30~16:30(最終入場 16:00)
南アルプスの天然水の工場とセットで見学もおすすめ
敷地内に南アルプスの天然水の工場もあります。
こちらも予約は必要ですが、無料で見学ができますので、お子様がいる方はこちらもおすすめです。
〇HP:見学ツアー・イベント 一覧 |サントリー天然水 南アルプス白州工場
大人も子供も楽しめるサントリー白州蒸留所へ是非行ってみてください!
では!!