ファッションは非常に汚い産業。それでも私は服を着る
こんにちは、たけのこです。
フランスのファッションブランド「Vetements(ヴェトモン」がニューヨークで、ファッション業界の過剰生産に対する問題提起の展示をしました。
「ヴェトモン」の公式インスタグラムでは、「ファッションは非常に汚い産業。アメリカの売れ残り在庫は年間500億ドル(約5兆円)に達するほどだ。アパレル経営者らは、サステイナビリティーや、二酸化炭素排出量の削減などについて声高に主張をしている。しかし、彼らはもっと簡単な解決方法が眼前にあることを知らない。過剰生産を防ぐことは、それだけでサステイナビリティーにつながるのだ。ファッション業界では、ラグジュアリーブランドの成長の背景に“明確な消費”があることを主張しがちだが、彼らは需要以上の生産を行っている」とアパレル業界への厳しい意見を投稿。
今回はファッション業界について、最近思う事を書きたいと思います。
ファッションは非常に汚い産業。アパレル業界が環境を破壊している?!
ヴェトモンは「ファッション業界は、石油産業の次に世界で2番目に大きい汚染産業です」と言っています。
廃棄される洋服の在庫がアメリカ全土で年間5兆円もの量に及ぶため、繊維を作る過程、繊維を織る過程、運搬、在庫品の廃棄、それぞれの過程で二酸化炭素が発生します。
また、洋服の繊維は石油や木材を合成してつくる化学繊維が使われているものも多いです。
つまり、ヴェトモンは、洋服の過剰生産が温室効果ガスを余計に発生させるとともに、石油や木材を無駄に使うことになるためサステナビリティ的にも問題と言っているのでしょう。
アメリカだけで5兆円というくらいですから、全世界でみたらとんでもない量の服が在庫となり、廃棄されているものと思います。
ユニクロの約束
洋服の過剰生産というと、ファストファッションをついつい思い浮かべてしまいますが、日本を代表するファストファッション「ユニクロ」の店舗に行くとこんな張り紙がしてあります。
お客様への3つの約束
1. きれいな売場にします
2. 広告商品の品切れを防止します
3. 3カ月以内は、返品・交換します
あぁ、なんか過剰生産してそう。
ユニクロって、いつ行っても洋服山積みになってるじゃないですか。絶対在庫出てますよね。
しかも、シーズンごとに次々と新商品が投入されています。
服が生鮮食品の如く入れ替わってる気がします。
ますます過剰生産してそうな感じ。
一方で、ユニクロは全商品リサイクル活動というものも行っているようです。
全世界のユニクロ、ジーユーの店舗で「全商品リサイクル活動」を実施。16の国や地域で、お客様からご不要になった服を回収しています。回収衣料の約90%は難民キャンプへの寄贈などでリユースし、残りの約10%は燃料化して最後まで活用します。
これなら、衣類が無駄になってない?
んんん...
過剰生産しても、それを寄付すればそれは無駄にはなっていないという風に考えていいものか...
10%はリサイクルったって、燃やしてるしなぁ。
安いから買いすぎる?
全商品リサイクル活動で過剰生産を誤魔化しているかどうかは置いといて、安い商品を消費者にたくさん購入させることは過剰供給を招いていると思えます。
例えば、ユニクロのヒット商品であるヒートテックやシルキードライ(エアリズム)はその低価格ゆえに、必要以上に買っている人も多いのではないです?
私も1週間分まとめ買いしてしまいました。
そうすれば平日に洗濯できなくても、着るものに困らないですからね。
でもこうして1週間分の洋服を買えるのは、それらの商品が低価格だからだと思います。
メーカーの低価格高機能アピールが消費行動を誘い、消費者は過剰に買いすぎてしまう。
つまり消費者が過剰に消費するように促せば、自然とメーカーの過剰生産は容認されてしまうんです。
需給が一致しているともみれますが、消費者に必要以上に消費を促していることが、汚染産業と言われる由縁にもなっているのではないでしょうか。
過剰な消費、過剰な供給が環境破壊につながる
洋服に使われる繊維には天然繊維と化学繊維があります。
洋服の過剰な消費や過剰な供給が行われることは、こうした繊維を大量に消費することにつながります。
天然繊維の需要が増えれば、それを生産するために環境が破壊されるかもしれないです。
たとえば、レーヨンの原料となる木材パルプは自然林を破壊して、原料となる植林木を植えられていることが問題視されているんですよ。
マイクロプラスチックによる無意識な環境汚染
化学繊維ではどうでしょうか。
ポリエステルやナイロン、アクリルは石油を原料とした有限の資源を利用して生産されています。
それ自体が環境破壊ともとらえることができますが、それ以上に深刻なのは化学繊維の洋服を洗濯することで発生するマイクロプラスチックです。
マイクロプラスチックは以前記事の中でも紹介しました。
ある研究では、フリースジャケット一着から1回の洗濯につき25万本の繊維を垂れ流していることがわかっています。
そんなに垂れ流して服スッカスカにならないのか気になりますが、それだけ細かい繊維のため洗濯機のネットじゃ回収できないんです。
洗濯からでたマイクロプラスチックはやがて海に辿り着き、魚がそれを食べて、そして私たちはマイクロプラスチックを魚と一緒に食べることになります。
プラスチック事態は体内に取り込まれてもそのまま排泄されますが、プラスチックには汚染物質が付着しやすく、生物濃縮によって最大100万倍の濃度になるそう。
そうした高い濃度の汚染物質は、排泄されず血液や脂肪の中に取り込まれ身体に障害を起こす可能性が懸念されています。
化学繊維の服を着ることは、まるで水俣病の再来のような悲劇を起こそうとしているのです。
誰かの犠牲の上に着ている洋服
ファストファッションの多くは、低賃金のアジア諸国で縫製されているものが多いです。低価格なシャツやジーンズが手に入るのは、人件費の部分でコストカットがなされていますからね。
安い賃金で労働を強いられる人を無視して、大量に生産される洋服。
そして年間5兆円の在庫(アメリカだけですが)。
これがファッション業界を支えているのです。
それでも私は服を着る
あなたが今着ている洋服が起因して、大量生産、大量消費、大量在庫、それにともなう原料の大量消費、環境問題、人権問題、これだけの問題が生じています。
じゃあ、服を着るなとかそんな話ではありません。
私たちには、本当にそこまで多くの洋服や、安い洋服が必要か考えていただきたいのです。
私もおしゃれは好きだし、ファッションはその人を表すものとも考えています。
しかしながら、その背景にあるものを思うと、私は気軽に安いから洋服を買うという消費行動に躊躇してしまいます。
ファッション業界はあの手、この手で私たちの消費を促してきます。
しかし、その戦略に乗せられている以上は、何も変わりません。
背景を知り、私たちが賢い選択をすれば、自ずと問題は解決できるはずです。
私のマフラーは30年もの
いい服をやアクセサリーを買えば長く使えるものです。
私が母からもらい受けたマフラーは無地でグレーのカシミヤですが、すでに30年以上購入してから経っています。
母は基本的にものを長く綺麗に使う人。
だからマフラーをもらった時も、新品をくれたものだと思っていました。
良いものというのは、世代を超えて使うことができるのです。
マフラーも買った当時はそれなりの値段を出していると思いますが、2世代に渡って使えることを鑑みれば、決して無駄な消費ではないでしょう。
私が先日作った靴も同じ。
ソールを修理して使えば10年くらいは軽く使えます。
一つの物を長く使うというのは、買った値段以上の価値を与えてくれるものです。
これを機会に、あなたのファッションに対する消費行動について考えてみてはどうでしょうか。